IR Report
同時多発テロ後の米国企業のIR活動-NIRIの緊急アンケート結果
全米IR協会(NIRI)は、2001年9月11日の米国同時多発テロ発生後まもなく、米国企業に対して、テロ事件がIR活動に与えた影響に関する緊急調査を行った。本書は、この調査結果の抜粋を、弊社お客様用にご提案するものである。
1. 9月11日以降、これらの出来事(同時多発テロ事件)があなたの会社にどのような影響を与えるかについて、投資家コミュニティーに、電子メール、Webサイト、手紙、その他の手段でコミュニケーションをとったか?
68%以上の企業は、まだコミュニケーションをとっていないと答えた。但し、時価総額が大きな企業においては、コミュニケーションを取ったという回答が若干多かった。
2. 9月11日以降IR室が受けた電話やe-mailの数は、通常と比べて少なかったか、同じか、それとも多かったか?
通常より少なかった、と答えたIR担当者が約半数を占めた(この質問の回答者は400社以上にのぼったが、そのうち200社強が少なかった、と答えた)。
3. 投資家はどのような問題について質問したか(例、安全確保、旅行、戦略への影響、自社株買い、キャッシュの保存、等)?
最も頻繁に出た質問は以下の点についてである。
- 自社株買い
- キャッシュ・マネジメント
- 消費者信頼度(コンフィデンス)と消費者支出
- 売上、利益、サプライチェーン、将来の需要、出荷、操業への影響
- 従業員の安全
- 操業と施設の安全確保
- 戦略への影響
- 経済後退による影響
また、長期より短期の影響についての質問をあげたIR担当者の数が多かった。
4. 9月11日の事件の結果、追加的な「利益に関するガイダンス」(利益予想の見直しを発表すること)を行う予定はあるか?
予定はない 81%
予定あり 19%
ほとんどの業種では、「予定あり」と答えたIR担当者は少数派であった。しかし、2つの業種(保険業界およびメディア・娯楽業界)では、約半数のIR担当者が「予定あり」と答えている。
5. 9月11日の事件の結果、経営陣やIR担当者は、来月の飛行機による旅行の計画を変更したか?
67%が「変更」した。
6. (変更した、と答えた企業に対して)どのように旅行計画を変更したか?
旅行に関する方針を見直した結果、計画の中止、延期、回数の制限、などを行っている。計画を中止した、と答えた約100社の中には、「投資家向けプレゼンテーション、証券会社主催の会議、自社でのアナリストミーティング、ロードショーをキャンセルした。」と具体的な回答を寄せた企業もある。通常の旅行方法の代替案としては以下の方法が採用されている。
- 飛行機のチャーター、もしくは企業・個人保有の飛行機の利用
- 米国籍でない航空会社を利用
- 電車または、車による移動
以上の調査結果が報告されている。追加的な「利益に関するガイダンス」は行わないものの、「自社株買い」を期待されているのが、現在の米国企業の状況であると言えよう。
以上
(2001年10月9日)