2025年度プログラム開催報告・受講者の声
本年4月5日(土)に開校した「次世代経営者人財養成スクール2025」は、11月29日(土)の最終回まで残すところ数回となりました。ここに各回の概要をご紹介いたします。
(講師敬称略)
第1回(4月5日)
講師
IGPIグループ 会長
日本取締役協会 会長
冨山 和彦
演題
労働供給制約×AI革命時代の経営とガバナンス改革
講義概要
- 不確実性の時代だからこそ確実なことは何か?を問え
- DXの本当のインパクト:代替財か?補完財か?どのレベルのCXが必要か
- 人的資本経営時代の会社のかたち
- 「両利き経営」の要諦: どこで日本企業は躓くのか・・・結局は組織能力の問題
- コーポレートガバナンス改革の今後の課題
- 次世代リーダーの皆さんに問う
受講生の声
- 経営の修羅場から見えてくるマネジメントリーダー人物像の講義に感銘を受けた。
- 冨山氏の明快な講義で、我が国における企業課題が見えてきてよかった。
- 世の中の流れが急激に変化している中で、我々、当社としても進むべき方向性が痛烈に示された気がして、大変役に立った。
第2回(4月19日)
講師
KKRジャパン
会長
斉藤 惇
演題
経営者の心得
講義概要
- 人口減少、老齢化の現状と課題
- それに対処するために欠かせない客観性の高い経営
- 未来への投資の欠如、劣後が続く人財投資などの問題点
- 企業価値を向上させる方策
受講生の声
- 昨今の株価上昇は、コーポレートガバナンス改革の効果が見られるが、そのための問題意識と解決に向けた針路が理解できた。
- いまだ日本企業の多くは改革の途上であり、危機意識を持って課題解決に取り組んでいく必要性を実感した。
第2回(4月19日)
講師
ジェイ・ユーラス・アイアール
取締役会長
岩田 宜子
演題
サステナブルな経営に向けて~資本市場に関する認知、知見は必要か~
講義概要
- 資本市場の期待と経営
- IR、中長期運用投資家とのエンゲージメント
- 人的資本、多様性とサステナビリティ
- 投資家の声は経営のトレーニング
受講生の声
- このスクールの趣旨とそれを目指す熱意を感じられる内容であった。
- 経営トップを目指す者として、「投資家との会話がトレーニング」という発想は新鮮で、IR活動および資本市場に親しみを抱けるようになった。
第2回(4月19日)
講師
ジェイ・ユーラス・アイアール
副会長
高山 与志子
演題
コーポレートガバナンスに対する考え方と最近の動向
講義概要
- コーポレートガバナンス・コード以前の日本企業の考え方
- コーポレートガバナンスとガバナンス
- 海外企業の状況
- 取締役会に関する最近の注目テーマ
受講生の声
- コーポレートガバナンスと日常で使っている「ガバナンス」の意味の違いを改めて理解することができた。
- コーポレートガバナンスは欧米の考えを単に取り入れただけだと思っていたが、日本の企業経営にも同様に重要であり、また真剣に取り組んでいくことでメリットを享受できることに気づいた。
- コーポレートガバナンスの視点を持って講義に臨む重要性を感じた。
第3回(5月10日)
講師
早稲田大学ビジネススクール
教授
西山 茂
演題
財務リテラシー
―ビジネスリーダーにとって必要な会計・財務
講義概要
- 経営者として知っていなければならない、キャッシュフロー、資本コスト、ROEなどの重要財務指標についてのおさらい
- 実例で学ぶ:経営者・投資家の目線からの財務諸表(B/S、P/L、キャッシュフロー計算書)の読み方、考え方
- 投資プロジェクトの評価・判断指標と演習
受講生の声
- 今までにもこうした内容の教育は受講してきたが、事業ラインの担務の為に実務での活用が断片的となっていた。今回の講義で知識が線となった。
- 財務リテラシー全般とROIC経営について理解を深めることができた。また、演習も大変有益な機会であった。
- 管理的ポジションの社員に求める共通言語セッションとして非常に有意義で勉強になる内容だと感じた。
第4回(5月24日)
講師
大妻女子大学 データサイエンス学部
教授
鶴 光太郎
演題
人的資本経営の理論
講義概要
- メンバーシップ型雇用、ジョブ型雇用の基本
- 人的資本経営のフレームワーク
- 人材獲得大競争時代における経営者の意識変革
受講生の声
- 今後日本企業にとってジョブ型雇用導入が何故必要なのかについて、自身の中で整理することができた意味でも有益な講義であった。
- 外部環境やその会社が置かれている状況、将来への方向性を鑑み、人事制度も適用していく必要性を理解できた。
- 経済及び企業成長の目線で、どのように人財を確保して、その人的資本をどう活用し、それを対外的にも公表して評価を得ることで、企業の成長、評価に繋がるという体系的なところで理解が出来た。
第5回(6月7日)
講師
日立製作所
エグゼクティブアドバイザー
中畑 英信
演題
人的資本経営の実践について
ー2009年からの日立の経営変革での取組み実践事例ー
講義概要
- 日立製作所における「人的資本経営の取組み」の考え方
- 日立製作所における「人的資本経営の取組み」
- 経営戦略の明確化 (2009年の経営危機からの経営改革)
- 経営戦略に連動した人財戦略の明確化・実行
受講生の声
- 経営戦略と人財戦略の連動が社内変革の浸透において重要な点であったことがしっかりと伝わってきた。
- 日立の人事政策の背景、哲学や具体的な取組事例を多くご紹介 いただき、取組が成果に結びつくにはそれ相応の時間が必要なこと、粘り強く取組する必要があることがよく理解できた。
- 短期にリターンを求めず、辛抱強く様々な取り組みを継続された結果、現在の成長につながっていることがよく理解できた。
第6回(7月5日合宿①)
講師
NPO法人産学連携推進機構
理事長
妹尾 堅一郎
演題
ビジネスモデル(基礎)
講義概要
- 「ビジネスモデル」の基礎概念群
- 「ビジネスモデル」の関連概念群
- 事例学習(古典的事例からBMの重要性を学ぶ)
- 事例1︓(零細企業事例)
- 事例2︓(中堅企業事例)
- 事例3︓(⼤企業事例)
受講生の声
- 先生の広範で深いご見識に裏付けられた双方向のコミュニケーションを主とした講義で大変勉強になった。
- ビジネスという言葉一つとっても自分では理解しているつもりだったが本質を理解することが大切だと再認識した。
- これからの経営戦略を考えるうえで、ベースの頭をしっかりと持つことの重要性が大変勉強になった。
第6回(7月6日合宿②)
講師
NPO法人産学連携推進機構
理事長
妹尾 堅一郎
演題
産業生態系の変容とサーキュラーエコノミー
講義概要
- 産業⽣態系の変容
- 「資源⽣産性」と「使い続け」
- サーキュラーエコノミー(資源循環経済)の基本
- AI実装ロボット
・AIが“発明”を始めた
・AI実装ロボットの衝撃
受講生の声
- ストーリーに即した説明であるため、必要性・重要性についてよく理解できた。
- 産業、経済の発展過程と、環境影響が顕在化している現在にやるべきこと、意識付けなど参考になる部分が多かった。
- これまで今後の事業戦略における一つの切り口と考えていたが、そうではなく社会全体が循環型にシフトしそれに対応して収益を獲得できなければ会社として存続できなくなるぐらいの大きなインパクトであることを知り、認識を大いに改めることになった
第7回(7月19日)
講師
国際大学 学長
東京大学・一橋大学 名誉教授
橘川 武郎
演題
エネルギー安全保障とカーボンニュートラル
講義概要
- 第7次エネ基策定過程の問題点
- 脱炭素から低炭素へ
- エネルギー安全保障の現状
- カーボンニュートラルへの道
受講生の声
- 普段の業務とは離れた分野ではあるが、視野を広げるとさまざまな点で関わりがある分野であることを痛感。我々、日本立地の産業人が最低限知っておくべきエネルギー問題についての理解が深まった。
- 社内において環境認識を上げるため多くの働きかけを行っているが、今回の講義で日本におけるエネルギーの川上・根本を学ぶことができた。政治的な一面が多く関わることも再認識できた。
- 既存のインフラを有効利用することがコスト削減の道など、示されたお考えはすべて論理的、合理的で深く納得できた。
第8回(8月2日)
講師
ソニーグループ チーフテクノロジーフェロー
ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長
北野 宏明
演題
AIによる産業革命と日本の戦略
講義概要
- 人工知能の変化
- 日本の戦略
- Convergence of Tradition, Terroir, Science and Technology~伝統・テロワール・科学・技術の融合
- Innovation in the Long-tail Economy~ロングテール経済におけるイノベーション
受講生の声
- 日本らしさを経営戦略に据え、ここにイノベーションやテクノロジーを組み込んで独自のものにしていく構想力の重要性を感じた。
- AIに関する基本的な知識はあったが、ロングテールのことまで含めての今後の見通しについては大変興味深く、自分の今後のビジネスにも大いに活用できそうだと感じた。
- 個々に持ち寄った案でグループ討論し、うまく組み合わせてチームとしてプランを提案する過程において、将来の事業をイメージしながら取り組むことができた。
第9回(8月23日)
講師
AGC
代表取締役 兼 副社長執行役員 CFO CCO
宮地 伸二
演題
経営の要諦を考える ~長くCFOを務めてきた経験から~
講義概要
- 硝子の会社「旭硝子」から素材の会社「AGC」へ
- ガバナンス
- AGCの両利きの経営
- 社名変更・ブランディング
- 経営の要諦とは」
- 経営とCFOの役割
- 事業を見る目
- 人財育成と企業風土
- 危機管理
受講生の声
- 社名変更、ボードメンバーのサクセッション、事業ポートフォリオ経営など、ちょうど当社の現在の課題でもあるので、とても納得感があった。
- ご自身の幅広く蓄積されたご経験に基づいた非常に分かりやすく有益な講義だった。
- 今年からCFOを拝命している自分にとっては、あるべきCFOの姿からいかに現状が乖離しているか痛感させられ、今後の自身の行動を見直す意義深い時間となった。
第10回(9月6日)
講師
京都先端科学大学経営学研究科 教授
/一橋大学ビジネススクール 客員教授
名和 高司
演題
パーパス経営の実践
講義概要
- なぜ今、パーパス経営か (Why)
- パーパス経営の実例 (What)
- パーパス経営の実践 (How)
受講生の声
- Purposeや企業理念、行動価値の企業価値・生産性向上における重要性を再認識するとともに、それらを深く意識せず部下のマネジメントを日々行っていたことを猛省させられる機会となった。
- 「〇〇経営」に振り回されないことが大切だと改めて感じた。会社の本質的な強みをいかに研ぎ澄ませつつ、持続的な成長を続ける(そのための事業環境の持続可能性を考える)という基本を軸に考えたい。
第11回(9月20日)
講師
ソニーグループ
取締役代表執行役会長
吉田 憲一郎
演題
テクノロジーの進化とソニーの経営
講義概要
- ソニーの志質量創
- 多様性とPurpose
- コーポレートガバナンス
受講生の声
- 「PurposeをProfitに結び付けなければならない」というお言葉があったが、自社のVisionやPurposeが必ずしも自分事になっていなかった自分にとって大変納得感がある内容であった。
- サードポイントとの向き合い方など事業化目線でのリアルな話を通じて、資本市場をどう経営に生かすか?という事例学習の機会を得た。
- 難しい経営判断も経営トップとしてしてこられたご経験と割り切りが大変勉強になった。
第12回(10月4日)
講師
元MS&ADホールディングス 取締役会長 会長執行役員
(現 三井住友海上火災保険 常任顧問)
柄澤 康喜
演題
経営として大切にしていることとリーダーに求められる資質
(リーダーシップ/リスク論)
講義概要
- ビジネスリーダーのリスク感度
- 経営として大切にしていること
- リーダーに求められる10の資質
受講生の声
- 経営者が身に着けるべき10のスキルといった内容は、今後より高い視点で自社や事業、組織を見ていく上でも非常に参考になった。
- 二律背反に関するマネジメント能力がとりわけ印象に残った。
- ご自身の実務経営を紹介されながら、リスクやリーダーシップ、正解のない問題への向き合い方などをご教示いただいた。
第13回(10月18日)
講師
三井住友トラストグループ
フェロー役員
金井 司
演題
インパクトファイナンス 反ESGの「処方箋」
講義概要
- なぜインパクトが必要か
- 企業におけるインパクトの取り組み
- 生成AIの活用
- インパクトファイナンス
- インパクトと企業価値
受講生の声
- ロジックモデルの作成に関する事例が特に興味深かった。他の事例も含めて深掘りの手法等につきさらに理解を深めたい。
- 財務情報ばかりに注目しがちな企業目線では、企業価値向上に向けて不十分であることに痛感させられた。インパクトの追求も意識して、これからの企業戦略を考えるようにしたい。
- 最近時、ESGがおかれる難しい立場も踏まえたうえでの講義であり、深く理解できる内容であった。
第13回(10月18日)
講師
アミタホールディングス
代表取締役会長兼CVO
熊野 英介
演題
エコシステムビジネス論~アミタのビジネスモデルを事例として~
講義概要
- 経営に必要なもの=決断力
- アミタの価値創出
- アミタの中核ビジネス
- アミタの未来のビジネスモデル
受講生の声
- 経営者の覚悟と決断についてのお話が特に興味深かった。創業者のご経験や中長期の戦略についても是非参考としたい。
- ソーシャルビジネスの意義や難しさについて理解を深めるることができた。”社会”や”生活者”を考えた視点の大切さがわかった。
- 人口減少や気候変動下においてどのように継続的に利益を上げ企業価値を向上させていくのか、その難しさを改めて認識した。