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IR Report

これから上場を考えている企業の方へ・・・ 東証メールマガジンにて連載

東証Mothers Information(IR企画)メールマガジンより、弊社代表取締役 岩田宜子連載分抜粋

「IRに関する解説」

IRって何…? ~PART1:IRの始まり~

「貴社は、どうして上場したいのですか?」読者の皆様は、これまで何度もこのような質問を受け、その都度、質問者の意図を考えながら答えられているのではないかと思います。

会社がある程度の規模になると、証券会社や監査法人といった公開関係者が株式公開のメリット(旨い話や、都合の良い話)を色々と解説してくれることもあるので、読者の皆さんの中にも株式公開を非常に都合よく理解している方もいるかもしれません。

でも、株式公開を考えるにあたって、一番重要でしかも慎重に考えなければならないことは、企業が、「一般に公開される」ということで、これが何かを深く認識しなくてはならないことです。

「一般に公開される」ということはどのようなことでしょう?それは、もう会社が貴方だけのものではなくなるということです。もしくは貴方たちのものではなくなるということです。「そんなこと知っているよ当たり前のことだ」と怒る方もいるかもしれません。

しかし、今まで貴方や貴方の会社に全く関係のなかった人たちが、貴方の会社に(もしくは貴方の勤める会社に)関心を持ち、評価し、「よし、この会社の成長に期待してみよう(または、儲けられるかもしれない)」と思って投資することとはどのようなことかまず想像してみてください。

なかには「買って、売って、、、」とトリッキーに売買している投資家もいるので「勝手に儲けようと思って投資しているのだから自分たちには関係ないさ」と思う方もいるかもしれません。しかし、多くの投資家は、プロの投資家でも個人投資家でも貴方の会社の何かに期待して投資することになるのです。

それでは、投資家が何に期待しているのか貴方は知りたくなりませんか?証券会社がうまく売りさばいてくれたのだろうと、もしお考えならば、証券会社のセールスマンは貴方の会社をどのように説明したのか知りたくなりませんか?

もし、投資家が自分達の目指す方向と違うところに期待していたり、証券会社のセールスマンがオーバーに宣伝して投資家に過度に期待させていたりしていることがわかったら、貴方はどうしますか?「いやいや、弊社にはこのような強みがあるのでその分野は拡大していく方針だが、この分野は、このような理由で今後はあまり期待していない、、、」というように貴社の本当のところを伝えたくなるのではないでしょうか。「株主・投資家に自社への理解を深めてほしいと思うこと」それがすなわちIR-インベスター・リレーションズの始まりなのです。

IRって何…? ~PART2:IRはコミュニケーション活動の一つ~

投資家が自社について誤解したり、過度に期待しているということが判った場合、「いやそれは違う、その点はこうだ、、」と説明したくなったら、これがまさしくIRの始まりです。投資家が、自社の発展について消極的に考えていたら、経営者の方はたぶんくやしいと思うはずです。反対に、過度に期待されたならば、今度は訴訟リスクも出てきます。確かに、株価は上昇するかもしれませんが、本当の状況が伝わると、株価は急落してしまいます。すると、企業が自社に都合の良い、誤った情報を流したので、損失を被ったと訴えられる可能性もあるからです。

つまり、IRとは、貴方の企業の現状を正しく把握してもらい、この現状に基づいて将来を予想してもらうためのコミュニケーション活動なのです。将来についての予想ですから、不確定要素ももちろんあるでしょう。この不確定要素をどう確実性に近づけるか、プロの投資家やアナリストでさえも困難で、間違えることは多々あります。特にこの同時テロ事件以来、何が起きても不思議でない世の中となりました。業界によっては、1年後はおろか三ヵ月後の予想もできないというところもあります。

マザーズをはじめ新興市場では四半期決算の発表を求めています。新興企業ではやはり、長期のことより足元をしっかり分析して次の四半期を予想していくアナリストやファンドマネージャーが多いです。企業の方でも、上場前から、なるべく四半期毎に自社の業績をつかみ、適宜方針を決めていくという習慣をつけたほうが良いでしょう。

ところで、何が起こるか判らない世の中、米国の企業の中には、四半期でさえも投資家に不安を与えるのではということで、四半期中であっても定期的に決算発表をする企業も現れました。この企業はインテル社ですが、逆にいうと、何が起こるか判らないからこそ、投資家・アナリストにきちんと判断してもらいたい、自分達がディスクロージャーをしなかったことで、自分達の問題とされるのは勘弁してもらいたいという気持ちが背景にあります。

このように、コミュニケーションも受身、受身でこなしていくのではなく、なるべく企業側から発信していくのが、実は企業にとってもリスクを減らすことになるのです。また、このことがIRの大きな役割と言えましょう。

IRが期待される背景

株主や投資家とコミュニケーションを積極的にとらないほうがリスクが高いということを前回お話いたしました。今回はIRが注目され出した背景をお話したいと思います。

Rが期待されるようになったのは主に次の7点を挙げることができます。

  1. 持ち合いの解消
  2. 外国人投資家の登場
  3. アカウントビリティ(説明責任)
  4. 年金や401K問題
  5. グローバルエクセレントカンパニーの登場
  6. 銘柄選別競争時代
  7. M&A、敵対的買収

ご存知のように日本の高度成長時代は、銀行と企業が株式を持ち合い、銀行は「物言わぬ株主」として企業を支援してきました。90年初頭、カリフォルニア州公務員退職年金基金が、日本企業に社外取締役制度の導入や配当政策に対して注文をつけました。「物言う株主」ということで、新種の総会屋が誕生と、メディアでもだいぶ話題になりました。同時期、日本の株式市場での買い手が海外の投資家が主体となり、東証上場企業の平均外国人持ち株比率が10%を超えたのもこの頃です。

ところで、外国人投資家は、実はうるさい株主ではなく、合理的な判断で投資運用する理性的な集団であるということがわかるに至って、投資される企業だけではなく、資金運用する投資家サイドでも運用委託の年金基金に対し、説明責任があるという図式がはっきりしてきます。このためこの説明責任-「アカウントビリティ」というこの言葉が定着することになりました。

日本でも年金獲得競争や、401K問題が浮上すると、日本の機関投資家の間でもアカウントビリティが話題になり、コーポレートガバナンスに関する関心がにわかに高まってきます。すると、企業の方もIR活動を通して企業の戦略や方針をきちんと説明できるところが出てきました。国内だけではなく、海外の投資家に対しても理論的に説明できるような企業は「グローバル・エクセレントカンパニー」として注目されました。ソニーやトヨタがその代表的企業です。

このような企業が出てくると、合理的判断で投資先を決定する海外投資家は、競ってこのような企業に投資しだします。次のグローバル・エクセレントカンパニーを探す動きも目立ってきました。銘柄選別時代の到来です。

一方、アカウントビリティの意識が欠如したり、企業戦略をうまく説明できない企業は株式市場でも注目されないばかりかビジネスでの影響も受けだし、M&Aの対象になったり、敵対的買収の話題を提供したりしました。

このようなことは東証一部上場の一部だけの問題ではありません。これから上場する企業であってもこの背景を理解して、むしろこの状況を積極的に活用することを考えなければなりません。舵取りに時間のかかる大企業を横目に、上場を決心したのならば、早いうちに、株式市場との関わりを考え、IR活動を通して貴社のビジネスを側面から強力にサポートしてもらえるような戦略を立てると良いでしょう。

では企業はまず、何をしたら良いのでしょうか?

IRが期待されるようになった理由や背景を前回までにお話しました。ではIR活動を進めるためには企業はまず何をしたら良いかということが今回のテーマです。

ここで、是非強調したい点が1点あります。上場を目指している企業が特に気をつけなければならないことです。それは、貴方自身(企業)が決定者であることを自覚しなくてはならないということです。IR活動-株式市場とのコミュニケーション-をどうしたら良いかということを証券会社や監査法人が決めてくれるのではありません。

多分、どこどこがやってくれるから、、それは、○○証券会社の仕事だ、、と他社に期待したり、任せていたりしているのではないでしょうか。何をしたら良いか、すべきかは貴方が決めることです。誰も貴方を親身に面倒をみません。それぞれのビジネスの立場でアプローチをしてくるのです。また、馴れ合いやお友達関係があるから、というのも株式市場では通用しません。

はっきり言います。IR活動に関して、もし、ただでやるといったところがあるのならば、それは下心があるということを知ってください。

すなわち近い将来も貴社によってもっと儲けさせてもらおうという下心です。大型上場といわれる銘柄ほど証券会社には「おいしいビジネス」です。

もちろん、株式を売ってもらわなければなりませんから、幹事証券会社には頑張ってもらいたいです。つまり、証券会社は貴社の株式を売る人(売るために考える人)、一方、企業は株を買ってもらうというよりも、どうやって株主や将来の株主を「メンテナンス」するかという姿勢で投資家と向き合う立場であるという違いを認識すると良いでしょう。

さて、貴方がご自身で決定するためには、まず貴方が考える貴社の強みを整理してみてください。業界動向も整理してください。また自分達はどこにいきたいのか、どのようなビジネス戦略でどうなりたいのか、目先の資金需要が必要なのか、上場による知名度のアップを期待するものなのか。人材の確保なのか。これが整理されたら、証券会社も実はその機能を発揮しやすくなります。

またこれで、貴社のIR活動の方向性も自然と決まってきます。もし整理することができなかったらという問題があります。

このことをお手伝いするのがIRのコンサルティング会社です。なんだか弊社の宣伝になってしまったのですが、以上の点をクリアできずに上場している企業が多いのが現実です。そのためIR活動や株価も暗礁に乗り上げているようです。

以上のようなことを全くアドバイス受けていない企業があまりに目に付き、とても残念という思いからということでお許しください。

では、株式市場のプレーヤーとは?

IR活動を開始するための心構えや、期待されてきた背景などをお話してきましたが、今回は、実際IR活動を進めるにあたってどのような人たちが貴方の会社から発する情報の受け手であるかというお話をいたしましょう。

つまり、貴社とのコミュニケーションの相手、対象先、訴求対象は、誰か?という問題です。

この人たちは誰か。ずばり、「株式市場のプレーヤー」たちということになります。この人たちはまた、セルサイド(証券会社)とバイサイド(投資家)という2種類から成り立ちます。IR活動においては、自企業を分析してもらい投資対象とするか判断してもらわなければなりませんから、「インデックス運用の投資家」や短期で売買したり、大きな利ざやを短期間で稼ごうとする目的で株式を購入する「ヘッジファンド」の投資家はコミュニケーション(IR活動)の対象外となります。

ざっくりですが、セルサイドでアナリストを有し日本にオフィスを置いている証券会社は日系・外資系両方で40社です。また、実際、株式の売買をするファンドマネージャーを有し、IR活動の対象となる機関投資家で日本にオフィスを置いている国内・外資投資家は、約130社、海外で、日本の小型株を主に運用する投資家の数は700社位あります。

この人たちが、主なプレーヤーということになります。

個人投資家へのIR活動についても読者の皆さんの関心が高いと思いますが、弊社では、そのタイプを①富裕層(知識・経験が豊富で機関投資家に近い)、②のんきな投資家、③デイトレーダーと3種類に分けています。デイトレーダーはIR活動の対象外として良いでしょう。

さて、どのようにアプローチするかですが、本来、個人投資家向けIRとは、投資規模と反比例しておカネも時間もかかるものと思われていました。しかしながら、最近は、Web(ホームページ)も浸透しましたので、個人投資家へのアプローチも楽になってきています。今年3月東証で「IRフェア」が開催されたのですが、そのとき弊社ではフェアに参加した個人投資家にアンケートを実施しました。その結果、確かに、個人投資家は年齢層が高いが(60代と70代がアンケート回答者の半数以上であった)、この年代の投資家の主な情報源として、なんと78%の方が企業のホームページと回答していました。

インターネットは世代を超えて浸透しているということです。

このような市場構成ですが、貴方の会社のビジネスモデルを把握してもらい、その将来性・可能性を理解・指示してくれたファンドマネージャーや投資家は貴方にとって強力なサポーターになってくれるでしょう。次回は、上記でご紹介した機関投資家向けIRをどうするかをご案内して最終回とさせていただこうと思っています。

IRを実施するならばうまくやりたい、それにはどうしたら良いでしょう?

日本全体に閉塞感がただよっている中、IR業界は元気があると言われています。上場を決めた若しくは決めようとしている企業にはすでにIR支援企業からのアプローチがあると思います。IRを実施するのならば限られた予算と期限の中でうまくやりたいものです。それにはIR支援企業のさまざまなタイプを理解する必要があるでしょう。印刷媒体からスタートした支援会社は、アニュアルレポートの即時性の欠点を補うべく最近ではWeb(ホームページ)の支援を強化しています。また、証券会社系のIR会社は、主幹事証券会社とコーディネートしながら進めています。弊社のような「純粋」コンサルティングIR会社では、IRチームの立ち上げや、全体の動きを見ながらその都度必要なIRに関するアクションプランを策定していきます。

これから上場する貴社は、多分「ニッチ」と「ユニークさ」で「上場」に向かってまい進してきたのではないでしょうか?このような企業に対して、投資家は興味はいだくものの昨今の機関投資家間の運用競争の激化で慎重になったり、貴社の属する業界をフォローするアナリストでさえも、貴社を十分に「理解」、「分析」するのは難しいのではないかと予想します。このような背景の中、IR活動では、何のメッセージを、社内でどのようにコンセンスを固めて、誰に、どのようなタイミングで、どう発信するか、ということを決めること(IR戦略の策定)が重要となってきます。IR活動は決して小手先ではできないということです。

IR活動の全体を①IR戦略の策定・準備、②実践、③フィードバック・効果測定の3パーツで分けて考えると良いでしょう。「IR」とは、「投資家とのミーティングを開くこと」でも、「印刷媒体やWebを作成すること」だけではありません。これらの「実践」のためには、上記のような「戦略の策定・準備」が必要です。

またIRを実施したからには、「フィードバック・効果測定」しないのでは、企業として中途半端な行為となってしまいます。

筆者は、これまでさまざまな規模の企業の経営者と会ってきましたが、どのような規模、ビジネスタイプの社長であってもIRを通して成長していく姿を見てきました。最初は戸惑うものの、多くの経営者はブレーン(脳)のトレーニングとして、楽しんでいるのではないでしょうか。このような経営者が経営力を発揮する姿も見ています。この不況期を脱する力のある企業の経営者はこのような人たちであると思います。皆さんには、IRを経営上楽しむという気持ちでIRに挑んでいただきたいと思います。

(おわり)

以上

(2001年12月26日)

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